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古式の石見神楽が伝わる島根県匹見町。ある古老が飲ませてくれた酒は、古い寺の床
下から見つかった52 年前の酒だった。ホントーにうまかった。ボロボロのラベルには
、ベロベロの酔眼にも「手古鶴(てこづる)」という木版刷りの文字が読みとれた。今
は裏匹見峡という観光地になっている広見川の奥に、昔、ごくごく小規模の酒蔵があっ
たという。広見の清い水は現在でもわさび作りに利用されているが、その水を使い、米
や酒を背負って運んだだめ、手間がかかったという意味で。手古鶴という名で売られた
が、その生産量が極端に少なかったため「幻の銘酒」の名をホシイママにしたものだっ
たそうだ。だが、あのいまわしい大豪雪で、その酒蔵はなくなってしまったのだそうだ
。過疎化のハジマリだったのだ。ボクが匹見に手を貸している間に、なんとか手古鶴を
復活させようと考えたが、いまや町には酒を飲める人はいても、つくれる人がいない。
しかたなく醸造は懇意のNOB 冗造に頼み、純酔パズルとして世に送る。
これぞ手古鶴復活の秘話なのである。「最後の酒づくり」をしていた方のお孫さんが、
現在ウッドペッカー木工組合で働いておられるから、立ち寄られたら昔の話を聞いてみ
てほしい。 芦ヶ原 伸之
手古鶴 (てこづる)
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